連続殺人事件 

THE CASE OF
THE CONSTANT SUICIDES
1941


ストーリー;
スコットランドの古城に住む老人が、塔から転落して謎の死を遂げた。古城といっても由緒あるお屋敷というより、ただ古くて大きな館であって、遺産は残っていない。そこで共同経営で縞模様のアイスクリームを発明し、儲けようとしたが失敗したのだ。保険金目当ての自殺にしては奇妙な点が多すぎる。そして他殺なら手がかりから犯人は一人しかいない。
ところがその男も密室で死亡。
途方もない目にばかり会う主人公と、災難に見まわれる新聞記者と、ドタバタの連続で笑わせられる。そこで強烈なウイスキーを就寝前ココアのように飲む、フェル博士の推理。

◆「・・アンガスが罪もない他人を死刑に追いやるような卑劣な爺さんだったとは思いたくはありませんね」
「アンガスは卑劣な爺さんでもなかったが、正直なクリスチャン紳士でもなかったんじゃ」


◆感想;ドタバタ紀行かと思いきや
スコットランドの老人たちが愉快で退屈しないストーリー。殆どTVシリーズのコメディかドリフのノリ。事件が3つも起きるというのに最後まで笑いが絶えない。
トリックは密室が2つだが、小道具が同時代のもので説明できるのがいい。
最初の謎は半分くらいで解明されるので意外な感じもする。
フェル博士は頭脳明晰だけど傲慢でなく、正義感に凝り固まってもいない。正直で地に足のついた爺さま探偵だと思う。


◆トリックについて:消えた凶器

アンガス・キャンベル(被害者)は毎晩10時にはベッドに入った。共同経営者のフォーブスはアンガスを訪ねたが、口論して追い返された。しかしフォーブスが誰にも見られずに再度侵入することは可能だった。
アンガスは戸締りをして一人で寝た。窓からもドアからも誰も入れない。ただし、ベッドの下に犬くらいは入る檻のようなものが置かれていた。前からあったものではない。その檻には鍵がかかっていた。
アンガスは塔の窓から転落したが即死ではなく、朝になって発見された。